2010年8月19日木曜日

強いられる死 (その他)




年間三万件以上発生している、いくつかの自殺の事例にフォーカスし、その背景にある社会的要因を明らかにしようとしている。

著者が述べているように、この本は絶望の物語である。
しかし、今より少しでも明るい未来を作るための本である。

読み出すと、自分の生活まで重苦しい気持ちが広がってくるが、
それでも読むべき本だと思う。
現実に起こっている出来事を知る必要がある。

職場での集団によるモビング、
特定の個人への嫌がらせ、無茶な業務、
成果主義等の名を借りた、個人や組織による、
特定の個人への攻撃
学校、自衛隊、倒産、多重債務・・・

229ページにある、「現代の自殺は個人の問題ではなく、社会の中に三万スポット、そこに嵌ってしまうと自殺に追い込まれる場所がある」、
という文章に、とても合点がいった。

社会や人間関係の中でエアポケットのように、
不可抗力的にあらわれるスポット。

身近なところにそのスポットがあり、そこに嵌っている人、嵌りそうな人がいた時に、自分は何ができるだろうか。

自分がそのスポットを作り出す側にいて、
スポットの存在に気付いたときに、
自分の立ち位置を変えて、
その人を助ける側に移ることができるだろうか。

44ページにある、労基署の担当者の姿が胸をうつ。

警察による全国調査の発表では、自殺原因はどれか一つに
分類されている。

しかし、現実には自殺の原因は一つではないという。
最初のきっかけは体を壊したこと、それで仕事を長期間休んだら解雇された。お金を借りて返せない。やがて多重債務、家族との不和に陥り、うつ病になって自殺、などという連鎖があるという。

だからこそ、社会の自殺防止の支援は連携することが必要だという。
精神科医、弁護士、経済学者、行政などが連携しなければ、自殺しようとしている本人が、それぞれを訪問する力など残っていないという。

これは、中小企業の経営支援にも通じると思う。
セーフティネットは連携が必要だ。

著者があとがきで述べているように、自殺の原因をあげていけば、
日本社会のほとんど何もかもが対象となってしまうだろう。

そういう社会に私たちは生きているのだ。

この本に書いてあることは、
現実にこの社会で起こっていることだ。