37冊目は、
商いの道〔新装版〕
経営の原点を考える
伊藤雅俊 著
PHP研究所 2005年
です。
イトーヨーカ堂の初代社長の著作です。
商売を続ける上で大切なことが書かれています。
イトーヨーカ堂は大きな会社ですが、本書ではどうやって大きな会社にしたのかというテクニックはあまり書かれていません。
それよりも、商売を継続させることに重きを置いているように感じました。
人の営みである経営において成功するには、人としての成長が必要だと訴えられているのだと感じました。
経営知識だけでは足りないのでしょう。
この考え方は、同じくPHPから出版されている稲盛和夫氏の『心を高める、経営を伸ばす』にも通じる部分がありますし、本書にも登場される松下幸之助氏にも通じるところがあるのだと思います。
人間活性化を考える時にも、本人が人間として成長することは、重要だと思います。
本書は経営・商売の経験がある人に、特に響くと思います。
私が本書を知ったのは、経営コンサルタントの冨山和彦氏が『会社は頭から腐る』という著作のあとがきにおいて、自身の経営観の原点となったと紹介されていたからでした。
私もこれからコンサルティングを仕事にする中で、その経験をもって、本書を読みなおしたいと思います。
人間活性化の観点から本書を読むと、下記の2点のヒントがありました。
P.101
社員がやる気をなくす原因、それは自分の努力が会社から正当に評価されていないと思いこんだ時である。
給与面でも、待遇面でも、なぜ自分はこの立場にいるのか、という説明がなされなければ疑心暗鬼になり、仕事への熱意もなくなる。
→経営者や管理職などの仕事を与える立場の人間は、仕事の内容説明だけでなく、給与や待遇についても社員への説明が必要である。
つまりは、社員個人では解決できないこともあるということ。社員の人間活性化のために、周囲の人間がすべきことがある。
P.136
仕事の中に、考える、仮説を立てる、という要素を加えると、人は俄然やる気を出し、活き活きしてくる。
→活性化のためには人間的な仕事をするということが重要だと思います。
人間は考える動物です。
仕事の中にも考える部分が必要です。
マニュアルに則り、考えないような仕事では、人間的でなく活き活きとはしないでしょう。
ただ、考えることを任せるということは相手の思考力を信頼するということでもありますから、任せる方には勇気がいり、考える方にも努力が必要でしょう。
最後に印象に残った言葉を紹介します。
P.8
イトーヨーカ堂の成長の秘訣
「お客さまとお取引先を大切にする」
「嘘をつかない」
「感謝の心を忘れない」
商いというよりも、人間としての基本を毎日毎日飽きずに繰り返してきただけ
P.22
「お客さんは来ないもの」
「取引をしたくてもお取引先は簡単に応じてくれないもの」
「銀行は貸していただけないもの」
P.24
「商売とはね、お客さまを大事にすること、そして信用を大事にすること、それに尽きるのだよ」
P.58
「開店の気持で商売をやれば、絶対に儲かる。それ以外にはない」
P.153
名誉や見栄で上場するな
P.157
「成長」より「生存」を考える
P.189
人材とは「泥をかぶれる人のこと」
P.238
リストラよりベースダウンを
P.249
会社にとって、一番大切な財産は、資産ではなく、売上げでもなく、実は人さまとの関係なのだ。
以上
