2010年12月14日火曜日

人材マネジメント (9/100)




9冊目は
人材マネジメント
(ハーバードビジネスレビューブックス)
ダイヤモンド社 2002年です。

少し古い本ですが、企業における「人」について、いろんな観点からまとめられています。

本書には、大学教授による7つの論文が掲載されています。基本的に、調査に基づいた事実が述べられているので、信頼性が高いです。また、ケース(事例)が多く、理解しやすいです。なんとなく、仕事をする上で、肌で感じていたことが、明文化されて、考えが明確になります。

ケースが記載されているのはありがたいです。私は、インプットとアウトプットはセットで、知識が身につくと考えているので、ケースを読むことにより、擬似的に脳内でアウトプットができ、ただ読んでインプットするよりは効果があると思います。

中小企業診断士やグロービスのテキストにより、体系的な知識を得た後であれば、本書の各テーマの位置づけを把握しながら、より深い知識を得ることができると思います。

各テーマ
1.4つのタイプの企業文化
2.ピグマリオン効果
3.報酬に対する間違った考え方
4.人材の多様性
5.固定座席以外の勤務形態
6.ダメージ症候群
7.他者の説得

興味深かった、1.2.6.について紹介します。
1.は社員間の交流と結束の多い少ないにより、企業文化を4つに分類しています。
交流多い・結束強い=共同体型
交流多い・結束弱い=ネットワーク型
交流少ない・結束強い=傭兵型
交流少ない・結束弱い=分裂型
それぞれのタイプで、メリット・デメリットがあり、どれが一番良いということはありません。また、企業の状態や外部環境によって最適なタイプも異なります。社内の部門毎にタイプが異なることも十分にありえます。私は、これまで共同体型が一番優れていると考えていたので、自社もそうあるべきだと考えていましたが、考え方をあらため、自社に最適なタイプを考えるようになりました。

また、2.6.は上司の部下に対する期待により、部下の成績は決まるというものです。マイナス効果は、上司と部下のちょっとした食い違いから、上司は管理を強め、部下はそれを期待と信頼の喪失と捉えます。期待と信頼がないと考えている部下の行動は、消極的になります。それをみた上司はさらに、部下の管理を強めるという、典型的な悪循環となります。

ピグマリオン効果とダメージ症候群は全く逆の効果です。私の身の回りには、両方の極端な例はありませんが、どちらかと言えば、ダメージ症候群の方が多い印象があります。

人材活性化という意味では、4つのタイプの企業文化から、人間が活性化する土壌も、タイプによって異なるのだろうと思います。人間も外部環境や内的状況により、最適な行動が変わるのだと思います。また、ピグマリオン効果やダメージ症候群からは、人とのかかわりの中で、人間は能力を発揮するものだということがわかります。自分を活性化するためには、自分に期待してくれる人の近くにいるべきだし、だれかを活性化しようとするのなら、その人に期待する必要があります。

最後に、印象的な言葉を引用します。
・最高の文化など存在せず、どの文化が最適化は事業環境次第。
・マネジャーは部下に期待をかけていることを伝えるよりも、期待していないことを伝えていることの方が多い。
・マネジャーによって与えられた現実性の無い高い期待に、部下は応えようとして、結果失敗し、その失敗により、仕事に否定的な態度をとるようになり、脱落していく。
・大卒新入社員につける最初のボスは、社内で一番優秀な者でなければならない。
・転職者が多い=労働者を十分に教育して活用していない。
・人々の求めているものは、快適な職場環境である。
・高額報酬の逆効果
 「こんなに高いカネをもらわなければ働かないのだから、自分はこの仕事が好きではないのだ。」
 「こんなに稼いでいるのだから、自分はカネのためにこの仕事をしているのだ。」
 「カネだけでは操られないということを会社に示してやる。」
・カネのために来る者は、カネのために去る。
・社員の低調な業績はほとんどが「上司の責任」なのだ。
・社員の多くは、上司の気持ちを汲み取ることができる。
・「チームとは一つの生きた有機体です。もし一人でも苦しんでいる者がいたら、チーム全体がその痛みを感じるのです。」

2010年12月12日日曜日

ケースで鍛える人間力リーダーシップ (8/100)




8冊目は、
ケースで鍛える人間力リーダーシップ
保田健治 著 / ダイヤモンド社
です。

組織活動では、各所で多種多様な決定が行われ、その中には、失敗も多く含まれています。組織には、失敗に強い組織と弱い組織があると思います。失敗に弱い組織は、失敗でエネルギーがどんどん減り、学習性無気力のように、停滞していきます。失敗に強い組織は、失敗でも現状維持し、成功の際に加速していきます。

失敗しない組織などありませんから、リーダーシップの無い組織は、失敗に弱く、だんだんと弱っていってしまいます。

学生が在学中、卒業、就職、一人前になる中で、リーダーシップを学ぶ機会というのは少ないと思います。つまり、組織の大半はリーダーシップがなく、失敗に弱い組織ではないかと思われます。社会人は業務に関する研修を受けるだけでなく、リーダーシップの勉強もすべきだと思います。

本書には、リーダーシップの失敗の事例(ケース)がたくさん記載されており、日常の組織の中で、なんとなく「よくないな」と感じてることの輪郭が明らかになります。そのため、身近な組織におけるリーダーシップの課題が明確になるはずです。課題の解決策は深くは記されてはいませんが、自身の中で課題が明確になっていれば、調べて考えることもできるのではないでしょうか。

そういう点では、本書は、リーダーシップ改善のための行動の糸口をつかめる本だと思います。

感想として、本書のいろいろな事例を読む中で、リーダーシップとは、「物事を動かしたり、変えたりする力」ではないかと考えるようになりました。リーダーシップがなければ惰性や外部環境にまかせて流れたり停滞したりするものを、リーダーシップによりあるべき姿や場所へ導くというイメージです。そのため、リーダーシップは、個人にも、組織にも必要だと思います。

人間が複数になると、タイプも異なるため、集団組織に対し、リーダーシップを発揮するのは、非常に難易度の高いものとなります。万能のテクニックはないと思いますので、リーダーシップの知識の習得と経験を積むことが必要です。

組織のメンバーが相乗効果を発揮している時、組織のメンバーは活性化していると思います。そのためにも、組織が相乗効果を発揮できるようリーダーは正しいリーダーシップを身につけるべきです。

本書を読むことで、自分があってはならないリーダーとしての行動をとっていないか、適宜振り返ることが必要だと思います。組織がうまくいっていないと感じる時には、だいたい、リーダーシップに課題があるのではないでしょうか。

最後に、印象に残った内容を紹介します。
・多くのチームにはさまざまな問題が内在し、効果的な相乗効果を発揮するに至っていない。その最大の要因がリーダーシップの欠如なのである
・最強チームとは、一人一人が高い自律性とコミットメントをもち、オープンな議論と協働行動により相乗効果を発揮するチーム
・リーダーはできるだけ「場」づくりに徹するのが理想
・(アンケート)チームがうまく機能していた要因
 目標の明確化と共有(61%)
 役割分担・責任・権限の明確化(30%)
 チームリーダーのリーダーシップ(26%)
 コミュニケーション(26%)
・(アンケート)チームがうまく機能しなかった要因
 他部署との連携の悪さ(情報共有不足)(33%)
 他部署との連携の悪さ(立場の対立)(13%)
 チーム内の情報共有不足(24%)

2010年12月6日月曜日

番外編:那覇マラソンの応援

昨日(2010.12.05)、那覇マラソンを走り、完走しました。記録は、4時間57分でした。目標の5時間をきって、うれしい限りです。

那覇マラソンの沿道の応援は、すばらしいです。

42キロの間、本当に途切れることなく、ずっと応援してくださいます。

マラソンを走ると、一生懸命になります。本気でないとマラソンは走りきれません。仕事をしていても、ここまで本気になる瞬間はめったにありません。完走を目指して走っていると、「今、自分は全身で本気で生きている」、と実感することができます。

そして、そんな本気で生きている自分を応援してくれる人がいる、ということを思うと、感動し、胸がつまります。個人的な感想かもしれませんが、ぼくはマラソンを走っていると、自分の人生を見つめることができます。自分の人生を感じることができます。「自分の人生」はこうだ、というのが直感的にわかって、自分の人生のひとよりも足りない面、でもその足りない面が愛おしく感じます。うまくまとまりませんが、ひとよりもいびつなところがあるけれど、それも自分にとって、大事な大切なことであり、自分は自分の人生を生きるしかないと、開き直って前向きになれるのです。走っている最中に、何度も涙が出そうになり、胸がつまってしまうのです。ここまで、自分の人生を直感的に感じることは、日常生活の中ではめったにありません。

ちょっと余談が長くなりましたが、那覇マラソンの沿道の応援してくださる方たちの話に戻ります。

那覇マラソンの沿道の応援には、有名なものがいくつかあって、YMCAをしながら走るポイントや、鉄腕アトムを歌っている人たちなどがいます。今年、笑ってしまったのが、スターウォーズのダースベイダーとその手下達(白い鎧のひとたち)が交差点に立って、例のBGMが流れていたところです。

こういう行為は、ぼくはとても好きです。思わず笑ってしまうようなこと。きっと、やっている方も笑ってもらって喜んでいると思います。

仕事をしていると、対価につながらない行為は、無駄な行為に思えます。

でも、その考え方で日常生活まで生きてしまうとだめだと思います。

笑ってもらうこと、喜んでもらうこと、助けになること。

もしかしたら、経済的にはお金が動かなくて損失につながるような行為かもしれないけれど、人間にとって大事な行為なのだと思います。

那覇マラソンでは、みんながウケを狙っているわけではなくて、沿道で、みかんやバナナ、黒糖等を持って差し出してくださる方も沢山います。

そういう行為をしている方たちは、対価をもらっているわけではありません。

しかし、そういった行為こそ大事だと思うのです。

人間同士のつながりとは、お金の介在しない行為の中にこそ、あるようにも思います。

生活にはお金が必要だけれど、人生はお金以外のものでできているようにも思います。

経済的には損失であっても、対価をもらわずに、無償で、誰かに笑ってもらうこと、喜んでもらうこと、そういった行為をしていこうと思えた那覇マラソンでした。

2010年11月23日火曜日

ビジネススクールで教えるメンタルヘルスマネジメント入門 (7/100)




7冊目は、
ビジネススクールで教えるメンタルヘルスマネジメント入門
佐藤隆 著 ダイヤモンド社
です。

この本では、メンタルヘルスの取り組みを、積極的におこなうための方法を学ぶことができます。

従来のメンタルヘルスは、メンタル不調者に注目して、予防や、迅速な発見、対応等をするものですが、この本では、メンタルヘルス対策を一歩踏み込んで、人的資源管理の一側面として捉えています。

著者は、「人的資源管理は、メンタル不調をいかに減らすかだけでなく、従業員を活性化させるために行う。」と述べています。この考え方には非常に賛同でき、人的資源管理をもっと深く身につけたいと思います。組織の中で人材が活性化するには、個人の取り組みだけでなく、組織側からの取り組みも必要です。

この本ではストレスの仕組みがわかりやすく書かれています。人材が不活性化する要因を知ることができます。

具体的には、
・何がストレッサーであるか。
・ストレス要因からストレス反応が生じる流れ
・ストレス対応の6つの類型
・6つの類型別の対処方法
・社員の精神健康度と職場適応度による組織診断の傾向分析
・人的資源管理の中のメンタルヘルス方法
等を知ることができます。

自分自身を考えてみると、神経質傾向の類型にはまると思います。認知行動療法やリラクセーションが適しています。

人材に関するコンサルティングを志す者としては、本書の内容は、定期的に読んで、忘れないようにする必要があると思います。

最後に、印象に残った言葉を引用します。
・産業メンタルヘルスの目的は、個人のストレスを最小にし、共同の成果を最大にすることである。
・ストレス対策を怠ることに伴う最大の経済的損失は企業の成長力低下である。
・適度なストレスがあるからこそ、人間の目標や努力が生じ、やる気が養われる。
・ストレスは人生のスパイスである。
・職位別に精神健康度が良好なのは、
 1.経営者、2.管理職、3.一般社員
・メンタルヘルス対策の最終目的は、企業全体の生産性を高めること。
・30代のメンタル不調が飛びぬけて多い。
・精神的に最もきついのは、ただ単に仕事を振られてプレッシャーだけかけられて作業をこなすだけになってしまうこと。

P&G式世界が欲しがる人材の育て方 (6/100)




6冊目は
P&G式 世界が欲しがる人材の育て方
和田浩子 著 ダイヤモンド社
です。

この本のタイトルは、少し内容とは違っていて深い人材育成方法は書かれていません。それよりは、著者がどうやって世界から欲しがられる人材になったか、が書かれています。
また、人材育成よりは、マーケティングや製品戦略の方が得るものが多かったように思います。

人材活性化の観点からこの本を見た場合、著者はロールモデルになりうると思うので、外資系やP&Gに近い仕事をしている方、また、女性でのキャリアアップを狙っている方には、活性化の要因になるかと思います。

著者は初期の日本P&Gの中で、性別にしばられることなく、仕事に立ち向かっていったことで、どんどんと抜擢されていったのだと思います。

また、この本から読み取れるP&Gの強さは、世界中のP&Gの組織が情報でつながっていること(人のネットワークや組織の仕組み)と、選択と集中の迅速な意思決定ができるトップのリーダーシップだと思います。だからこそ、必要なところに、組織がバックアップできるのだと思います。

最後に印象に残った言葉を引用します。
・正しくて難しいことをやれ
・できない上司の下は経験を積むチャンス
・P&Gから何を持っていってもらってもかまわない。人とブランドさえ残れば、いつでもP&Gは復活できるだろう

2010年11月18日木曜日

キャリア・カウンセリングが会社を強くする (5/100)




5冊目は、
キャリア・カウンセリングが会社を強くする
岩尾 啓一 著
出版社:経済界
です。

著者は、現代の日本の労働者が「自立」していないと危惧しています。そして、そんな労働者を「自立」させるための手段としてキャリアカウンセリングを提唱しています。しかし、現代のキャリアカウンセリングは、転職や求職アドバイザーにすぎないため、本来のキャリアカウンセリングをおこなうべきと訴えています。

労働者の自立と人材活性化は通じるところがあると感じます。自立がなければ、心の底からの活性化はありえないと思います。

この本においては、キャリアカウンセリングの必要性は大いに述べられているのですが、有効なカウンセリングの方法や手順があまり書かれていないのは残念でした。この本を読んで、実際にアクションをとろうにも、著者の言う、本来のキャリアカウンセリングをおこなってくれるところが、どこにあるのかが不明です。もしかしたら、どこにもいないから、著者が訴えているのかもしれませんが・・・

私は、以前コーチングセッションを何回か受けたことがありますが、費用が高すぎて続きませんでした。1回1時間1万円ほどです。でも、これでもある人からの紹介のコーチングだったので、安くしてもらっていたのだと思います。学生や、若手社会人のために、キャリアカウンセリングや、コーチング、メンター制度などを提供しているところはないのでしょうか。それならば、自分がやってしまおうかと思う今日この頃です。

著者は、「自立型社員」とは、自らのキャリアプランを持ち、キャリアプランの達成に意欲的な人のことだといいます。私自身は、「自立」している方だと思うので、この本から新しい知識を得るというよりは、著者の「熱意」に影響を受けて、私自身が活性化しました。
私自身は自立していると思いますが、これは、本を読んだり、両親や先輩から学んだり、友人や家族と話したりして、なんとか見つけたものです。

一人では自立は難しかったと思います。実際、一人暮らしの学生生活では、キャリアプランはなく、モヤモヤとした生活を送っていました。

私のように幸運に恵まれた場合はいいですが、そうでない場合には、やはり、メンターやキャリアカウンセラーが必要だと思います。これは、キャリアの自立も、活性化も同じだと思います。

最後に、印象に残った文章を引用します。

・日本人若者層は仕事観を持たない。何のライフプランもキャリアプランもなく、会社が設定するジョブローテーションの中で、只々無垢で無知な日々を送っている。
・日本において会社とは「母校」のようなものである。「愛情」を持つことなく、会社を去っていく人たちがいかに多いか。
・どのような精緻な制度であっても「低評価」を受けた人は、「不公平・不平等」という感情を持つ。
・それなりの危機感があるのに何もアクションを起こさないというのは、それこそ仕事を含めて、 「すべからく人生は与えられるものである」と考えているから。
・可能性というものは毎日を生きていく中で、「結果」として出てくるものではないか。だからこそ、日々の「瞬間」というものを正面からとらえ、誠実に生きていきたいと考える。そして「今」は、「明日」のためにできることを、少しでもやればいいと思う。その結果、「明日」が「今」になって、人間は少しずつ少しずつ成長していく。その積み重ねことが、「人生」なのである。

2010年11月16日火曜日

抜擢される人の人脈力 (4/100)




4冊目は、
抜擢される人の人脈力
早回しで成長する人のセオリー
岡島悦子 著
東洋経済新報社
です。

不活性の人材を活性化する方法の一つとして、「抜擢」があります。組織の中で停滞していて、やりたいことができない、やりたいことを見失っている人材にとって、抜擢は活性化の有効な手段です。

ただ、抜擢は待っていれば引き上げられるというものではなく、著者曰く、戦略的に人脈を構築する必要があるとのことです。

人脈の戦略的構築方法や、人脈レイヤーという表現は言われてみれば、なるほどと思うことですが、著者は、上手に整理していて、とても参考になりました。ちなみに、人脈レイヤーとは、人脈は階層(レイヤー)に分かれており、自分の属するレイヤーにいる人たちと接することになる、というものです。レイヤーを上がるためには、抜擢が必要なのだと著者はいいます。

将来、著者と同じように、私も、人材活性化モデルを構築したいと思います。

余談ですが、この本の中に、チャンスの女神には前髪しかない、というフレーズが出てきます。この本以外にも時々、耳にする言葉ですが、前髪しかない女神は、少し変な感じがするので、「チャンスの神」でいいのではないかと思います。

最後に印象に残った言葉を引用します。
・人脈は経済的成功や社会的成功を手に入れるために構築するのではなく、楽しく仕事をし、イキイキと生きるために構築するものである。
・Commit or Die.(貢献せよ、さもなくば去れ)
・人脈の投資は「1勝99敗」でも1度のヒットで元をとれることが多い。
・「今までやれそうもなかった仕事」や「これまで会えそうもなかった人」にアクセスできるチャンスに恵まれたときが、「上昇気流」が吹いている「人脈モテ期」のサイン。

2010年11月12日金曜日

エンパワーメント経営 (3/100)




3冊目は、
エンパワーメント経営
青木幹喜 著
中央経済社
です。

エンパワーメントとは、簡単に言うと、パワーを与えることや、パワーを与える仕組み、
または、パワーがあると認知すること、などを指します。

本書は、これまでの経営についてのエンパワーメント研究をまとめ、かつアンケート調査により、その研究を深めた成果をまとめた一冊です。エンパワーメントをいろんな方向から調べていて、エンパワーメントの基礎の部分を知ることができます。

ただ、「まとめ」の章から読むことをおススメします。まとめは、読みやすくなっていて、よく理解できます。論文を本に直したような本なので、前半は反復が多く、文章が読みづらいのと、ちょっと内容も捉えづらかったです。

エンパワーメントは、人材活性化とよく似ていると思います。

エンパワーされた状態は、
・自己効力感
・自己決定感
・有意味感
・影響感
等がある状態です。「自己決定感は自己効力感よりも重要」という記述は興味が惹かれました。

また、エンパワーメントに影響を与える要因には、
・成功体験
・代理体験
・言語的説得
・情動的喚起
・リーダーシップ
・権限委譲
・人事制度
など、複数あります。

加えて、エンパワーメントの効果として、
・挑戦意欲
・能力発揮
・創造性発揮
・行動の活性化
などがあげられています。

人が活性化することを考える参考になりました。

人材活性化を体系立てて考える際に、もう一度参考にしたいと思います。

2010年11月7日日曜日

番外編 パワースポット・近江神宮

番外編として、本以外から見つけた人材活性化を書きます。

今日、近江神宮に行きました。大津京に行く予定があったので、待ち合わせ時間より早く行って、近江神宮に行ってきました。

「ちはやふる」という百人一首のマンガに近江神宮が出てくるのですが、滋賀出身でありながら、近江神宮にいったことがありませんでした。ずっと近江神宮に行ってみたかったのですが、行ってみたいと思うだけで行動しなかったので、やっと重い腰を上げて行って来ました。

早朝の近江神宮は、まさしくパワースポットという感じを受けました。

まず、高い木々の林の中に入ります。お社に行くにはこの林を抜けていくのですが、木々に雑念がすいこまれ、神聖な気持ちが残っていくような気がします。大きな木の鳥居をくぐると、朱色の門が見え、気持ちが引き締まります。そして、大きな拝殿が見えると、いよいよ辿り着いたという思いがします。

心が静まり、雑念が消え、自分のやるべきことをやろうという、気持ちが芽生えてきます。大きな感情の変化ではありませんが、小さく、しかし強く心が変化します。これは、活性化とも通じる部分があります。

また、驚いたのは、今日、2010年11月7日が、近江神宮の御鎮座70周年の大きなお祭りの日だったということです。なんだか、こんな偶然の出会いがあると、自分が近江神宮に導かれてやってきたような気がして、天命とまではいかなくとも、自分のやろうとしていることが天の後押しを得られそうな理由のない自信につながります。この自信も活性化に通じる部分があります。

そんなこんなで、人が活性化する要因として、パワースポットに行くこと、偶然の出会いをすること、があげられると思います。

やればできるんよ (2/100)




2冊目は、
「やればできるんよ
 女性校長 学校改革1000日」
山廣康子
ダイヤモンド社
です。

2冊目にして専門書でなくなってしまいましたが、人材活性化の観点からは有意義な1冊です。
企業のコンサルティングにも通じる部分があり、多くのことを学ばせていただきました。

広島のある荒れた学校を、当たり前の学校にすること、それが山廣さんの目標でした。年間退学者が百数十人おり、ゼロ点で入学でき、ゼロ点で卒業できる学校。その学校を当たり前の学校にするには、数々の抵抗がありました。抵抗は、生徒、暴走族、生徒の親、だけでなく、教師の中にもいました。そんな抵抗の嵐の中で、学校をどうやって、あるべき方向に変えていったのかが、描かれています。

学校の更正は、生徒の活性化と通じる部分があります。生徒が勉強せず、部活もせず、退学していくのは、生徒が不活性化であるということです。

数々の対策が山廣さんにより行われていきますが、私が感じた成功の秘訣は、山廣さんが目指した方向があるべき方向だったからだと思います。学校は生徒や教師が、「やりたくてもできない」状態でした。そのやりたいことを目指したことが重要だと思います。だから同志や理解者、協力者が増えていったのだと思います。

山廣さんがおこなった対策・改革は、いくつかに分類できます。
・学校の中に山廣さんという改革者がいることを示し続ける対策。
・学校の体制の改革
・生徒や親、教師の考え方の改革。
・目に見える改革(清掃、遅刻指導、服装指導)
うまく、分類できているとは思いませんが、特筆すべきは、制度の改革は、後半に行われていることだと思います。まずは、生徒・親・教師の考え方を変えていき、あたり前のことが成功する土壌を作る。その後に、制度として具体的な行動を実行に移したのだと思います。参考にしたいと思います。

最後に、印象的な言葉を紹介します。
・学校と警察と地域の連携があり、多くの方々の支えがあって初めて教師も生徒も学校も変わることができる。一人の力でとうていできるものではない。
・生徒を更正させる魔法の言葉はない。確実な方法もない。でもあきらめず、労を惜しまないこと。それが唯一の方法なのだと私は思う。
・思い起こせば、学校改革の最初の一歩は、この職員室の掃除だったのかもしれない。
・学校を再生するためには、まず教師の意識を変えなくてはならない。

2010年11月3日水曜日

ハーバード流リーダーシップ「入門」 (1/100)




人材活性化読書マラソンの1冊目は、
ハーバード・ビジネススクールの
D.クイン・ミルズ教授の
ハーバード流リーダーシップ「入門」です。

非常に学ぶべきところが多く、何度も読み直したい本でした。

ビジネスにおいてリーダーシップは不可欠であり、リーダーシップについて学ぶことはビジネスを学んでいることにもなります。

本書は、リーダーシップの基盤から、活用方法など実用的な内容が記載されています。しかし、それだけでなく、ビジネスにおけるキャリアの構築方法や、転職、ワークライフバランスのヒントもあり、将来のアドバイスもおおいに含まれていて、まさしく、これから社会に出て行こうとしている学生に向けた大学の講義の書籍化という感じでした。

このブログの目的は、人材活性化をテーマに100冊のレビューを行うことですので、人材活性化について下記にまとめます。

まず、本書を読むことによって、私自身が将来、リーダーシップを発揮しているキャリアが思い浮かび、私自身が活性化しました。

また、現在の悩みの種のうまくいかない仕事についても、私でも、もう一度やれるのではないかと思えてきます。

加えて、リーダーのスキルやミッションとして、他者をエナジャイズしたり、他者の中のそれまで気付かれていなかった能力を見出す、といったことも含まれており、人材活性化がリーダーの役割であることもわかりました。

本書は、リーダーシップを網羅的に教科書のように記載しているため、人材活性化のための個別のスキルは深くは書かれていません。本書は、他者を活性化するために読むというよりは、自身が活性化するために読む方が良さそうです。リーダーシップの特性は、自分で自分のリーダーになる時にも必要で、活用できます。

最後に、心に残った言葉を紹介します。

・リーダーシップは、他人の考えや行動に大きく影響する過程である。
・リーダーシップは、役割である。ちょうど夫や妻、親としての役割をおうようなもの。
・仕事の通貨はお金。人間関係の通貨は時間。二つを混同するなかれ。
・われわれは得たもので暮らしを立て、与えたもので人生を築く。

2010.10.25~2010.11.03

2010年9月23日木曜日

今日の芸術 (その他)




「初版の序」には1954年8月の日付がある。
それでも、最近書かれたのではないかと思うようなことが多々ある。

岡本太郎は本質を見つめていたと思う。
そして、社会は本質をはずれたところにあるものなのだろう。
だから、岡本太郎の社会への批判は時を越えても通じる。

岡本太郎は、日々の生活に充実感や生きがい、自信を求めていた。
日々の生活が空しいのは、芸術がないからだという。
芸術とは、芸術家だけのものではない。
すべての人が自分らしく、自分だけの道を進むことが芸術なのだということだと思う。
自分の中の創造欲を芸術として発露させればよいのだという。
そしてそれは、その作品を見る者の生きがい感を触発するのだという。

P.19
スター選手のファインプレーを見て楽しいが、自分は何も参加していない。
楽しみながら、言いようのない空しさに傷つけられている。
自己放棄をやめなければならない。
というくだりに、はげしく同意する。

岡本太郎が1953年にパリとニューヨークでの個展を開くための出発の際に、
記者から「こんどあちらへ行かれて、何を得てこられるんでしょうか?」
と尋ねられて、
「いや、こちらが与えにゆくんです」
と真面目に返事をしたら、大笑いされて腹立たしかった、
というエピソードが、日本社会を顕著に現しており、
おもしろかった。

自分を失いがちなので、定期的にこの本を開いて、
目を覚ます必要がある。

2010年9月11日土曜日

「易経」一日一言 (その他)




著者曰く、易経は「時と兆しの専門書」だという。現象の裏側に潜む真理が書かれている。

陰陽により、世の中は天沢火雷風水山地の8つに分けられ、その8つのうち2つを組み合わせて、現象を読み取っている。
また、その時は、どう行動すべきか、も書かれている。

現実世界で起こっていることを、表面だけでなく、深いところまで見定める。
そうすることで、失敗したとしても、同じ失敗を繰り返さないようになるかもしれない。
また、歴史から学ぶこともできる。

この本では、著者の深い見識が散りばめられており、人生哲学本としても学ぶところがある。
努力して易経を学ぶことで、洞察力や直観力が鍛えられる。

自分で易経を読んだ後で、この本を読めば、卦の捉え方を確認するのにちょうどいいと思われる。

易経を読むと、自分の中にあった「社会や人間関係はこういうものだろう」と考えていた捉え方の浅さに気付く。

常に進むのではなく、進むべき時、止まるべき時があるのだと考えると、心が楽になる。

一番気になった卦は「地天泰」
地が上、天が下になっている。
地は下に、天は上に向かうため、
天地(陰陽)が交わり、
物事が生まれ、育つという
めでたい卦なのだという。

生じている現象が、なぜ生じているのかを考えると、
この先、どうなっていくのかもわかるようになる。
そうすれば、自分がどうすべきかも、
見出すことができるようになる。

2010年8月19日木曜日

強いられる死 (その他)




年間三万件以上発生している、いくつかの自殺の事例にフォーカスし、その背景にある社会的要因を明らかにしようとしている。

著者が述べているように、この本は絶望の物語である。
しかし、今より少しでも明るい未来を作るための本である。

読み出すと、自分の生活まで重苦しい気持ちが広がってくるが、
それでも読むべき本だと思う。
現実に起こっている出来事を知る必要がある。

職場での集団によるモビング、
特定の個人への嫌がらせ、無茶な業務、
成果主義等の名を借りた、個人や組織による、
特定の個人への攻撃
学校、自衛隊、倒産、多重債務・・・

229ページにある、「現代の自殺は個人の問題ではなく、社会の中に三万スポット、そこに嵌ってしまうと自殺に追い込まれる場所がある」、
という文章に、とても合点がいった。

社会や人間関係の中でエアポケットのように、
不可抗力的にあらわれるスポット。

身近なところにそのスポットがあり、そこに嵌っている人、嵌りそうな人がいた時に、自分は何ができるだろうか。

自分がそのスポットを作り出す側にいて、
スポットの存在に気付いたときに、
自分の立ち位置を変えて、
その人を助ける側に移ることができるだろうか。

44ページにある、労基署の担当者の姿が胸をうつ。

警察による全国調査の発表では、自殺原因はどれか一つに
分類されている。

しかし、現実には自殺の原因は一つではないという。
最初のきっかけは体を壊したこと、それで仕事を長期間休んだら解雇された。お金を借りて返せない。やがて多重債務、家族との不和に陥り、うつ病になって自殺、などという連鎖があるという。

だからこそ、社会の自殺防止の支援は連携することが必要だという。
精神科医、弁護士、経済学者、行政などが連携しなければ、自殺しようとしている本人が、それぞれを訪問する力など残っていないという。

これは、中小企業の経営支援にも通じると思う。
セーフティネットは連携が必要だ。

著者があとがきで述べているように、自殺の原因をあげていけば、
日本社会のほとんど何もかもが対象となってしまうだろう。

そういう社会に私たちは生きているのだ。

この本に書いてあることは、
現実にこの社会で起こっていることだ。

2010年4月11日日曜日

孔子 (その他)




5年ほど前にブックオフにて100円で購入。
それから、何回か読み始めるも、途中で断念。

今回、やっと読み終えることができた。

長くて、話もあまり進まない小説。
テーマはやはり、「天命について」だと思う。

「これは天命だ」と思えることにめぐり合えることと、
それが成就することは別ものだ、という。
言われてみれば、その通りだと思う。
この小説中では、孔子がうまくいったシーンはない。

そう考えると、天の恩恵とは、
結果ではなく、それに取り組むことにあるのではないか。

結果は、天は保証しない。
それに取り組めるということに、天の恩恵がある。

それは、個々の事象のみならず、人生も同じではないか。
生まれた、ということに意味がある。
幸せな結末になるかは、天は保証してないのは、
世の中を見れば、だいたいそうだろうと思う。

孔子の言葉と言われる、
朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり、とは、
朝、天命を知り、それに取り組んだならば、
夕、途中で死んでも構わないということではないか。

なにはともあれ、孔子もうまくいかないことばかりだった
のだと思うと、落ち込んだ気持ちが少しほぐれる。
また、次のチャンスをうかがおうと思える。

即効性はないが、
じわじわと長い間効き続けるくすりのような本。

また、10年後くらいにチャレンジしてみよう。


余談だが、今回、この本を富山旅行の道連れに持っていった。
富山旅行では、水墨画美術館というところに行き、
下保昭という画家の作品を中心に見た。
帰着してから気付いたことだが、
この「孔子」の装画が下保昭であった。
なんという偶然。
天命であろうか。

2010年3月11日木曜日

戸村飯店青春100連発 (その他)




主人公は二人。兄と弟。

器用だが、うまく自分を出せない兄。
勢いよくチャレンジするが、不器用な弟。

大阪の町で、それぞれが互いの「壁」と
なってしまっている兄弟の物語。

兄は大阪を捨て、東京へゆく。
弟は兄のいない大阪でがむしゃらに過ごす。

東京で出会う人たち。
大阪の町の人たち。
恋人。
父。母。
兄。
弟。

兄と弟は、離れることで、
己を知り、
それぞれの成長を遂げる。

18歳と19歳の物語であるが、
まだ共感できる部分もあるし、
過去の感情となってしまったものもある。
もう27歳だもんなあ。

青春とは、
自分がこれでいいと思う方向に進むこと、
かもしれない。

2010年1月17日日曜日

夜は短し歩けよ乙女 (その他)




乙女と、乙女に恋する若者と、
奇天烈なその他の人たち(神含む)が、
古都・京都で織り成す物語。

文体やネーミングは50年前のもののようであり、
でもやっていることは、現代的である。

物語の世界は、とてもピュアである。
京都という街を“ろ紙”で、何度もこした後のようである。

乙女は好奇心に満ち、若者は乙女への恋路を直進し、
その他の登場人物も、各々の道をただ進んでいる。
そんな人たちが、木屋町で、学園祭で、下鴨神社で
交差する時、物語が生まれる。

ときおり、思わず涙しそうになることがあるが、
理由がよくわからない。
若者のひたむきさにか、
若者の願いが成就しそうになる喜びにか、
それとも、
“ピュアそのものの世界”
に涙しているのだろうか。

「夜は短し歩けよ乙女」
夜がこんなにおもしろいのであれば、
全てを知るには、確かに夜は、短すぎる。

Presents (その他)



大半の人間は、
平凡な生活を送っていて、
不完全で、ゆがんでいる。
そんな人間同士が生活を共にすれば、
衝突もあり、悲しみもあり、
うらみたくなるときもある。

だが、相手は悪意をもっているわけでもなく、
不完全な人間同士だからこその
副産物である。

「私は完全ではないので、
あなたを幸せにすることはできない。
けれど、私はあなたが幸せになることを願っている」
その想いを伝えるのがプレゼントではないだろうか。

角田光代さんの小説を読んでいると、
「ああ、人間っていとおしいのだった」
と、思い出すことができる。

2010年1月11日月曜日

若き友人たちへ (その他)




2008年にこの世をさった著者は、晩年、大学で講義をもっており、その講義内容を中心にまとめられた本。
本来は、『青春と読書』に連載をおこない、それを新書として出版するという計画だったとのことだが、病のため2回をもって、連載は終了してしまった。
だが、冒頭の2章は、その2回の連載が収められており、それを読んでいくと、是非とも最後まで書いてもらいたかったと思う。

著者はジャーナリストであり、世論が一方に偏ることを危惧していたこともあり、一般には報道されないことも多々述べられている。
例えば、日本国憲法には、戦争をしないことは世界でもほぼ例のないことが書かれているが、もう一つ、男女平等も非常に珍しいこと。
また、日本に郵政民営化の圧力をかけたアメリカでは、郵政は国営であるということ。
世界の映画市場の7割以上がアメリカ製で、国によっては自国で作られた映画ではなく、ほぼアメリカ映画ばかりを楽しんでいる国があること。はたまた、ギリシャのテオ・アンゲロプロスという監督のこと、などなど。

日常生活では、情報源はテレビ・新聞・雑誌がほとんどだ。
おそらく、大メディアはウソはつかないだろうが、ある情報を伝えないということで、受け手側の印象を変えることはできる。
必要な情報をなんとかして収集し、自分の頭で考えることは、国家という集団の中で生きていく上では、不可欠だ。これは、会社組織にもいえることかもしれないが。

この本では終始、若者に足りないものを、示唆してくれている。
少なくとも、自分のもっている情報は、あちこち抜けていて、もっと勉強しなければならない、と恐怖に近い感覚をもって、思える一冊であった。