2011年1月29日土曜日

経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか (14/100)




14冊目は、
経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか
ダグラス・ラミス 著
平凡社 です。

この本は2000年に出版された本で、少し古いのですが、いろいろな知見が得られました。

実は、大学時代に買って読んだ本で、2回目ですが、読みなおしてよかったと思います。大学時代よりも知識・経験が増え、以前よりもよく理解できたと思います。

この本の主題は、
「現在、私たちは、自分で自分を危うくしている。もう間に合わないかもしれないし、まだ間に合うかもしれない。でも、可能性にかけて変化を起こしましょう。」
というものだと思います。著者は現在の社会を、タイタニックに例えています。もうすぐ氷山にあたるぞ、という警告は何回も聞いて知っている、だけど、タイタニック上では、だれも警戒せず宴が続いている、それに、タイタニック号を停めれば、みんな仕事を失ってしまう、だから、みんなタイタニック号を停めようとしない、というものです。

この本を読んで、一番最初にやったことは、この読書マラソンのタイトルを人材活性化から人間活性化に変えたことです。

著者は人材という言葉は、人を生産の道具として扱う言葉だと述べています。私は、企業の生産効率をあげるために人材活性化という言葉を使ったり、勉強をしているわけではないので、人間の活性化というように言葉を変更しました。

著者はいろいろな観点から、現在の危機を訴えます。環境、戦争、国家、経済発展・・・

私は20代後半ですが、ものごころついた時には、今の日本のカタチはできあがっていました。ですから、上記の危機を、すでにある、“そういうもの”として受け入れてしまいがちです。「元々そういうものなのだから、しかたない」、と。

しかし、著者は豊富な知識から、社会のそういうものの、始まりを示したり、社会の仕組みが招いた事実を指摘します。このままでいいのかと、考えなおし、ダメだと思うなら、変化をおこすための行動をとるべきだと思うようになりました。

・環境を考えると、エネルギーはやがて枯渇します。
・憲法9条が改正されれば、いつか戦争に行くことになります。
・働いた時間分の賃金を受け取るために仕事をするなら、それは奴隷と何が違うのでしょうか。
・経済発展という言葉のもとで、貧困はなくなっているのか、貧困の種類が変わっているだけではないか。
・民主主義といいながら、国民の意見は反映されていない。
などなど、おかしいことは沢山あります。そういったおかしいことを続けているうちに、自分の尊厳はなくなり、無力感や、自己疎外感、ニヒリズムにおちいってしまうのではないでしょうか。

人間の活性化を考えるとき、社会の仕組みが、人間を不活性にしている事実にも注目しなければならないと思います。

「ダメだけれど、そういうもの」と考えている社会の仕組みについて目を向けさせてくれる本でした。

2011年1月23日日曜日

人を助けるとはどういうことか (13/100)




13冊目は、
人を助けるとはどういうことか
エドガー・H・シャイン 著、
金井真弓 訳、金井壽宏 監訳、
英治出版 です。

本書の原題である『HELPING』とは、「相手の役に立つこと」とのことです。本書では「支援」と訳されています。

支援はうまくいかないことが多いですが、どうやったら、相手の役に立つ支援ができるかが、本書のテーマです。

本書の中で明らかにされていますが、「支援」という人間関係の中でも、いろんな心の動きがあり、心のすれ違いから、支援がうまくいかないことが多々あります。

そんな小さな心の動きで、感情が影響を受けてしまうことを考えると、人間が活性化するのも、大きな枠組みだけでなく、人間関係の中の、小さな喜びでも、活性化につながりそうな気がします。逆に、小さなすれ違いで、やる気がなくなってしまったり。

本書で、一番興味を持って読んだのが、「ワンアップ・ワンダウン」という概念です。支援を求める側は、支援を求めることにより、一段低い位置に自分がいると感じます。支援をする側は、相手よりも、一段高い位置にいると感じます。支援関係のスタートがワンアップとワンダウンという対等の立場でないことが、支援がうまくいかないことの原因の一つである、とのことです。

もう一つ興味を持ったのが、「傾聴」の効果です。支援者が、支援を求めるクライアントの話をきちんと聴く事でクライアントは、話している内容や、ひいてはクライアント自身に価値があると示されたと感じ、自信を取り戻すのです。支援関係のスタートは、クライアントはワンダウンにいますが、傾聴する事で、ワンダウンから回復し、対等な関係に近くなり、支援関係がうまくいく可能性も高まります。

傾聴の効果は、支援者だけでなく、高齢者にも効果があると思われます。現在、傾聴ボランティア養成講座というものに通っていますが、このボランティアは話を聴くだけのものです。これはこれで難しいのですが、話を聴くことで高齢者の方は元気になる、とのことで、支援関係にもボランティアにも傾聴は効果があるのです。

人の心というものは、いろいろなものに影響を受けます。著者が提唱するプロセスコンサルテーションの原則の中にも、
「あなたがどんなことを行っても、それは介入、もしくはゆさぶりになる」
というものがあり、人間関係はどんどん変化していきます。それを考えても、人間が活性化し、それが持続するということは、とてももろいもののように思えてきます。

ただ、少なくとも、本書を読み、身の回りの支援関係を円滑にする事で、無用のトラブル・イライラを減らし、活性状態を疎外する要因を減らすことは明るい未来に近づく一歩だと思われます。

今日の芸術 (12/100)




12冊目は、
今日の芸術
岡本 太郎 著
光文社 です。

タイトルには芸術とありますが、私は、本書のメッセージは、
「全身で充実して生きよう、生きるよろこびをとり戻そう」
ということだと思いました。

本書は1954年に初版が出版されていますが、岡本太郎は57年前に、
「この社会に生きる人は、生きることに充実していない。不完全燃焼の感覚がある。毎日毎日の生き方が、『なにかほんとうではない。こんなものではないはずだ。』とあせっている。そして、ほとんどの人間はあきらめて、適当にやっている」
と言っています。

この言葉は、今の社会を指しているのではないかと思ってしまいます。

そして、岡本太郎は、その原因として、「自己疎外」をあげています。

例えば、テレビでプロ野球のファインプレーを見て楽しむ。しかし、自分は指一つ動かしていない。自分は参加していない。そこに、自分はいないのです。

岡本太郎はそんな心境をさして、
「楽しみながら、逆に傷つけられている。言いようのない空しさに。自己放棄をやめなければならない。」
と言います。

今の時代は、さらに自己疎外しやすい環境が揃っていると思います。テレビやインターネットから、世界の映像が得られ、楽しい映像も、感動する映像も、怒りの映像も得ることができます。

一人で、部屋にいるだけでも、喜怒哀楽があるのです。

しかし、自分は参加しておらず、疑似体験だと思います。こういった疑似体験は、自分の能力を弱めているように思います。知識はどんどん増えていきますが、人間としての力は弱まり、普段テレビやPCから受信しているような映像を、作り出す側になることはできないと思います。

振り返って自分はどうかというと、私は、ときどき、ジョギングをしますが、走っているときは、少し生きる手ごたえを感じます。マラソンを走っているとき、強く手ごたえを感じます。目標のために勉強している時も、生きる手ごたえは少しあります。また、仕事で、手ごたえを感じることも、まれにあります。家族と過ごす時間は、充実感を感じることが多いと思います。

しかし、それ以外で、生きる手ごたえを感じる瞬間は少なく、自分はそれだけ、生活に参加していないということだと思います。今、虚しいのであれば、自分が創っているものが、自分の人生を創っていないと感じているのではないでしょうか。

便利で、また、いろんなルール・権力・圧力がうずまく、この社会で、自分であり続けることはとても難しいと思います。でも、それができなければ自分の人生に満足できないとも思います。10戦10勝は難しいと思いますが、全敗ではなく、少しでも勝率を高めたいと思います。

尾崎豊の「僕が僕であるために」の中でも、
「僕が僕であるために勝ち続けなきゃならない」
と、ありますが、本当にそうだと思います。戦うのをやめたとき、冒頭の、「あきらめて適当にやっている」状態になるのだと思います。

人間が活性化するためには、体を動かして、自分の生活を創り出し、生きる手ごたえを感じていることが条件だと思います。活性化しているならば、生きる手ごたえを感じているのではないでしょうか。

社長のノート (11/100)





11冊目は、
社長のノート
社長のノート2
長谷川 和廣 著
かんき出版 です。

経営のエッセンス集でした。エッセンス集とは、入ってきやすいですが、抜けやすいものだと思います。エッセンス集が、定期的に売れる理由の一つではないでしょうか。

一番心に響いたのは、
「残念なことに経営者の一部は、社員というものは人件費という経費に過ぎないと見ている人も多い。」
という、文章でした。

なんとなく感じていたことを、言葉という形にされて、頭の中のピースがはまったように感じました。社員の立場からでは、自尊心もあり、自分を経費だと断定することができず、なんとなく感じていても、ちゃんとした形にならずにいたのだと思います。

以前読んだ本の中に、ピグマリオン効果・ゴーレム効果というものがありましたが、社員はコストと捉えられ、期待されていないと感じていては、成果は出ないのではないでしょうか。これは、活性化しないということになり、そういった経営者の下では、社員は不活性になるのではないでしょうか。

また、こんな言葉もありました。
「伸びていく会社の共通点は、社員の90%が『私が主人公』の組織」
というものです。これを読んで、DeNA社の「球体組織」という考え方を思い出しました。社員が面を構成するので、誰もが会社の第一線におり、主人公であるということになります。こういうイメージが本当に根付いている組織は、社員もやりがいがあり、強い組織だと思います。

最後に、印象に残った言葉を引用します。
・不人気を覚悟する。
・すぐに独立できる人こそ、会社にとっては独立しないで欲しい人。
・歯車になるな。モーターになれ。
・プロフェッショナルの構成要素は“技と情熱”“誇りと責任”
・素人経営者は会社を不幸にする。素人ビジネスパーソンは自分を不幸にする。
・仕事の報酬は仕事。

人間活性化モデル:人間活性化モデルVer.1

人間の活性化に関する読書をしているので、定期的に人間活性化のモデルを考えてみようと思います。

■活性化の定義
活性化した状態とは、
・意欲、活力、気力、元気、やる気がある
・いきいきとしている
・テンションがあがっている
状態ということができる。

■活性化のモデル
「環境」を「認識」することで「反応」がおきる。
「反応」により、活性状態になる。
反応の発生は、
1.「環境」が変化する
2.「環境」はそのままで、「認識」が変化する
または、
3.「環境」を同じように再度「認識」する
ことで、生じる。

「環境」
・(自身の)肉体
・家族
・友人
・職場
・地域
・社会

「認識」
(下記の認識があったとき活性化する)
・有意味感
・成長感
・感謝心
・全体感(つながり感)
・影響を与えることができる
・期待されている
・権限がある
・自由度が高い
・課題が克服可能である
・主人公である
・希望、可能性がある

(下記の認識があったとき不活性となる)
・搾取されている
・利用されている
・意味がない
・失敗しそう

■活性状態が持続しない理由
活性状態の反応は、短期間で消える。人間は学習するので、同じ「環境」に対する反応は小さくなっていく。マンネリ化し、活性化の度合いは低くなる。

■モデル化に組み込めなかった事柄
・ライバルがいることで活性化
・ロールモデルをイメージして活性化
・適切な報酬額により活性化

活性化モデルの仕組みや、モデル化に組み込めなかった事柄もあり、満足のいくモデル化はできていないのですが、読書レビュー10冊毎にモデル化を見直し、精緻化していきたいと思います。

マッキンゼー事業再生(10/100)




10冊目は、
マッキンゼー事業再生
ダイヤモンド社 です。

マッキンゼーが著者であり、コンサルティングがテーマです。そのため、自身の将来のイメージに近く、自身が活性化しました。特定の人物ではありませんが、ロールモデルに触れたような感覚です。経営者のインタビューもあり、臨場感があり、ケース学習のように疑似体験できます。

ただ、ピンとこなかったのは、「企業価値」という概念でした。自分の経験が中小企業であり、株式公開をしていないからかもしれません。

事業再生は、英語ではターンアラウンド(業績の急回復や方向転換)というようで、財務面のみならず、事業面の立て直しが必須とのことです。当然といえば当然ですが、現実には財務面だけの立て直しも多いとのことです。事業の立て直しとは、当該事業から十分なキャッシュフローが生み出されるようにすることであり、日本には、事業再生に長けた人は少ないとのことです。確かに、日本の中小企業の約4割の経常利益率はマイナスであるので、数十万の企業は十分なキャッシュフローを生み出していないと思われます。海外の数値は不明なのですが、日本の企業は経営が下手なのか、日本の市場がいけないのでしょう。

本書内の興味があったテーマとして、「組織改革」がありました。組織改革は、失敗に終わることが非常に多いとのことです。そして、失敗に終わると、社員間の雰囲気は改革前よりも悪くなるというリスクもあるとのことです。

そこで、組織改革を行う際は、
1.組織改革が本当に必要なのか
2.それで何を実現したいのか
を明確にすべきとのことでした。例えば、人員削減は、人員削減として行われるべきであり、組織改革の名の下に行われるべきでない、とありました。

本書は、いろいろなシリーズになっていますが、今は、コンサルティングの仕事をしていないので、現時点では、どんな内容が書かれているのかを知る程度にしておき、いざ、コンサルティングの仕事ができるようになったときに、必要なところを再読したいと思います。