2006年6月29日木曜日

生命を語る視座 (その他)




生命科学の成果を医療に応用するかしないかの判断基準を、技術的に可能かどうかではなく、実施していいか悪いかという観点から述べた、というもの。
著者も冒頭で述べているが、日本の社会では、見解の積み重ねが乏しい。
だから、個人が「クローン」「ゲノム」「移植」などを考える時に、思い込みや偏見、誤解にとらわれてしまっている。
著者は幅広い知識と深い思考から、そんな誤解を解きほぐし、公正な視点を提供してくれる。
また、この本の基本となっている、実施していいか悪いか、という著者の視点が実に的を得ていて、また、日常見失いがちである。
例えば、「自分の生命は自分のものか」というような「所有」の観点から考えたり、「生命にとっての安全について」といった「安全」という観点から考えたりと、非常に新鮮である。
そして、「所有」や「安全」といった観点は医療の問題だけでなく、日常の思考や今後の人生の歩みを確かなものにしてくれるだろう。
大学受験科目の『現代国語』を思い出させるが、今では大いに楽しめ、有意義な文章である。

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