2010年12月14日火曜日

人材マネジメント (9/100)




9冊目は
人材マネジメント
(ハーバードビジネスレビューブックス)
ダイヤモンド社 2002年です。

少し古い本ですが、企業における「人」について、いろんな観点からまとめられています。

本書には、大学教授による7つの論文が掲載されています。基本的に、調査に基づいた事実が述べられているので、信頼性が高いです。また、ケース(事例)が多く、理解しやすいです。なんとなく、仕事をする上で、肌で感じていたことが、明文化されて、考えが明確になります。

ケースが記載されているのはありがたいです。私は、インプットとアウトプットはセットで、知識が身につくと考えているので、ケースを読むことにより、擬似的に脳内でアウトプットができ、ただ読んでインプットするよりは効果があると思います。

中小企業診断士やグロービスのテキストにより、体系的な知識を得た後であれば、本書の各テーマの位置づけを把握しながら、より深い知識を得ることができると思います。

各テーマ
1.4つのタイプの企業文化
2.ピグマリオン効果
3.報酬に対する間違った考え方
4.人材の多様性
5.固定座席以外の勤務形態
6.ダメージ症候群
7.他者の説得

興味深かった、1.2.6.について紹介します。
1.は社員間の交流と結束の多い少ないにより、企業文化を4つに分類しています。
交流多い・結束強い=共同体型
交流多い・結束弱い=ネットワーク型
交流少ない・結束強い=傭兵型
交流少ない・結束弱い=分裂型
それぞれのタイプで、メリット・デメリットがあり、どれが一番良いということはありません。また、企業の状態や外部環境によって最適なタイプも異なります。社内の部門毎にタイプが異なることも十分にありえます。私は、これまで共同体型が一番優れていると考えていたので、自社もそうあるべきだと考えていましたが、考え方をあらため、自社に最適なタイプを考えるようになりました。

また、2.6.は上司の部下に対する期待により、部下の成績は決まるというものです。マイナス効果は、上司と部下のちょっとした食い違いから、上司は管理を強め、部下はそれを期待と信頼の喪失と捉えます。期待と信頼がないと考えている部下の行動は、消極的になります。それをみた上司はさらに、部下の管理を強めるという、典型的な悪循環となります。

ピグマリオン効果とダメージ症候群は全く逆の効果です。私の身の回りには、両方の極端な例はありませんが、どちらかと言えば、ダメージ症候群の方が多い印象があります。

人材活性化という意味では、4つのタイプの企業文化から、人間が活性化する土壌も、タイプによって異なるのだろうと思います。人間も外部環境や内的状況により、最適な行動が変わるのだと思います。また、ピグマリオン効果やダメージ症候群からは、人とのかかわりの中で、人間は能力を発揮するものだということがわかります。自分を活性化するためには、自分に期待してくれる人の近くにいるべきだし、だれかを活性化しようとするのなら、その人に期待する必要があります。

最後に、印象的な言葉を引用します。
・最高の文化など存在せず、どの文化が最適化は事業環境次第。
・マネジャーは部下に期待をかけていることを伝えるよりも、期待していないことを伝えていることの方が多い。
・マネジャーによって与えられた現実性の無い高い期待に、部下は応えようとして、結果失敗し、その失敗により、仕事に否定的な態度をとるようになり、脱落していく。
・大卒新入社員につける最初のボスは、社内で一番優秀な者でなければならない。
・転職者が多い=労働者を十分に教育して活用していない。
・人々の求めているものは、快適な職場環境である。
・高額報酬の逆効果
 「こんなに高いカネをもらわなければ働かないのだから、自分はこの仕事が好きではないのだ。」
 「こんなに稼いでいるのだから、自分はカネのためにこの仕事をしているのだ。」
 「カネだけでは操られないということを会社に示してやる。」
・カネのために来る者は、カネのために去る。
・社員の低調な業績はほとんどが「上司の責任」なのだ。
・社員の多くは、上司の気持ちを汲み取ることができる。
・「チームとは一つの生きた有機体です。もし一人でも苦しんでいる者がいたら、チーム全体がその痛みを感じるのです。」

1 件のコメント:

  1. ピグマリオン効果の反対は、ダメージ症候群というよりは、ゴーレム効果という方がメジャーみたいです。

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