(書籍カテゴリー:その他)
福島の原発事故をめぐって
‐いくつか学び考えたこと
山本義隆 著
みすず書房 2011年
この本は、たまたま本屋で見つけて、タイトルと1000円という価格で衝動的に買ってしまった本です。1000円という価格は、著者が多くの人に読んでもらいたいという気持ちの表れではないかと感じました。この本では、物理学に詳しい著者が、過去の日本の原発に関する情報(歴史)をまとめてくれています。
この本からは、歴史を学ぶことの重要性を学びました。その気づきにより、人間を考える時、歴史から考えることも重要だと考えるようになりました。
先日、ある試験を受けました。複数ある科目の一つで、日本の人事労務制度の歴史を問われました。しかし、試験用のテキストには歴史のことは全く載っておらず、私もテキスト以外で歴史のことを意識して学んだことがありませんでした。試験直後は、なぜそんな問題が出るのかと恨み言を言っていましたが、この本を読んでから考えると、過去の人事労務制度の失敗があって、今の人事労務制度があるわけですから、同じ失敗を繰り返さないためにも、過去の歴史を知ることは重要です。また、いくつかの変遷があって、今があるわけですから、現在の人事労務制度を考えるには、今の状態を見るだけでなく、過去からのありかたを見ることで、さらに深い視点で見ることができると思うのです。
例えば、この本の第一章「日本における原発開発の深層底流」の中では、当時、原子力発電と軍事的利用の政治的意図があったと述べています。本書の中で紹介されている当時の岸信介首相の発言などを読むと、その意図があったことを信じるに足ると思います。事故直後の放射能汚染のニュースを読んでいると、安全性と経済への影響だけが気になりました。安全性と経済への影響なら、原発がなくても規模を縮小すれば日本はやっていけると思います。しかし、軍事的な要素が含まれていることを知ると、原発の必要性も感じるようになりました。ただ、私は原発必要派になったわけではなく、日本にとって原発が必要な理由の一つを知った、ということに過ぎません。原発があることで、もしも、他国から原発に対してミサイルを打ち込まれれば、放射能被害があるわけですし、原発そのものの事故も今後も起こりうるでしょう。
歴史の話に戻りますが、学生時代も歴史は勉強しましたが、それは、今とは断絶のある時代のことだと感じていました。ただ本書を読んで、過去の上に今があることを認識しました。本当は、日本史や世界史の教科書のできごとも、今と繋がっているのでしょう。しかし、今と繋げて考えることができませんでした。リアリティがなかったのです。今回の原発事故により、歴史と今のつながりを感じたことで、歴史を学ぶことの重要性、歴史と今の繋がりを知ることの重要性を知りました。歴史を知ることで、目の前の今の出来事をより深く、より多面的に見ることができるようになり、深い理解に繋がります。
これからも、過去の人間活性化への取り組みを知ることがあるでしょうが、想像力をはたらかせ、過去の取り組みが今にどんな風に活かされているのかを考えていきたいと思います。
ちなみに、本書では、原発の歴史の他に、原発の危険性や不完全性、アメリカの原発の歴史、原発利権等についても書かれており、一般には報道されることの少ない、日本の原発についての知見も得ることができます。(というか、こちらが本書のテーマです。)
0 件のコメント:
コメントを投稿