27冊目は、完全なる経営
A・H・マズロー 著
金井壽宏 監訳 大川修二 訳
日本経済新聞出版社 2001年
です。
本書の原題は「マズローオンマネジメント(マズロー、経営を語る)」、であり、欲求5段階説で有名な心理学者であるマズローが、経営や産業についての手記・覚書をまとめた書です。
400ページを越える書籍ですが、あちこちに傍線をひきたくなる魅力的な書籍です。
魅力的すぎて、影響を受けすぎて、まぶしすぎる一冊で、うまくまとめることができませんでした。
実は、2011年2月に本書を購入したのですが、内容が魅力的すぎて、レビューにまとめるまでこんなに時間がかかりました。
というか、全てをレビューにまとめることはできなかったので、もっと消化できた段階で、再度レビューを書きたいと思います。
また、本書を読む前にマズローの他の書籍である「完全なる人間」「人間性の心理学」等を読んだ方がいいのかもしれません。
不完全で間違ったレビューになっているとしたら、すみません。
現段階で感じた内容を書かせていただきます。
マズローは、「いい人間」や「いい社会」が実現することを望んでいます。
「いい人間」とは、自己実現(欲求の5段階の最上位)した完全なるひと、精神的に健康なひと、のことです。
「いい社会」とは、精神的に健康なひとが育ちやすい成長の場、と定義されています。
「いい人間」は「いい社会」をつくり、「いい社会」は「いい人間」を育てます。
理想的な好循環ですね。
そして、マズローは企業をミクロな社会と考え、企業は「いい人間」と「いい社会」の中間にあると考えています。
ですから、本書の中では一企業の利益について述べるのではなく、「いい社会」と「いい会社」の関係を中心に述べています。
また社員についても、会社の一員というよりは社会の一員としての捉え方の方が強く、社員の精神的健康についても述べています。
マズローは、健全な人間は、仕事を通じて成長し、自己実現に向かうことができる、といいます。
また、その仕事の内容には条件があり、「誇ることのできない仕事」や「人間性を奪う仕事」等は除かれます。
ちなみに、自己実現とは、自分の存在価値を示していくことによって長期的に探し続けるものだそうです。
現在進行形で終わりがないもの(かもしれない)と書かれています。
マズローは、中学生・高校生で自己実現している人がいるとは考えていなかった、と監訳者の金井先生は書いています。
感想として、利益を出すのが「いい会社」の第一義ではなく、「いい人間」を育てるのが「いい会社」という考え方に共感しました。
社会では利益をあげている会社は評価が高いですが、それは経済的側面からの評価だと思います。
経済的評価ではなく、人間がよりよく生きるためという最終目的の観点からマズローは会社を評価しています。
企業価値を高めるという経済的評価だけを求めていては、人間という存在から乖離していき空中分解してしまいそうなむなしさを感じます。
もちろんマズローは「いい会社」はビジネスで成功すると述べています。
マズローのいう「いい会社」は自分自身の理想とする会社に近く、マズローの視点を身につけるため、繰り返し読みたいです。
人間活性化と「いい人間」は重なる部分も多いので、人間活性化のためにも「いい会社」が増えるような仕事をしていきたいとも思います。
ちなみに、序盤には自己実現に関する記述があります。幸福とはなにかという記述もあります。
自分の人生を考える上で、一つの指針を与えてくれ、経営に興味のない方でも、一読の価値はあります。
この本は、発売当初の数十年前は全然売れなかったそうです。
時代が早すぎたのでしょう。
マズローが残した種が、21世紀に入って花開いたのだと思います。
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