1980~90年代くらいのとある東京の大学生が主人公。
青年の大学入学からの一年を追いかけた等身大の青春。
時に現代の状況が挿入される。(約15年後くらい?)
それぞれ今の人生を生きている。
当時の彼との出会いで、少しだけ人生が変わって、今の自分がいる。
ただ、今となっては、彼のことも思い出さず、そこで人生が変わったことも忘れ、今を生きている。
ふとしたことで、彼を思い出す人もいるし、思い出さない人もいる。
人はいろいろなことを忘れていくけれど、それは悲しいことでもあるのだと思う。
「スキだらけなところが世之介らしいところ」
と言われる主人公は、無防備だったり、おっちょこちょいなところが人付き合いでプラスになっているのだろう。
でも、自己中心的なところも強く、友人の家で寝泊りしたりもする。
世之介を見ていると、なんだか猫のような奴だと思う。
己の都合で、あっちこっちを移動しているけれど、気づいたら身近でゴロゴロいっていることもある。
なでると手触りがいい。
だけど、また、プイッとどこかへ行ってしまったりする。
本を読み終えて、世之介を思い起こすと、友達の家や公園で、猫をなでて触れ合った後のような心温まる読後感がある。
登場人物たちは、
「磨けば光る原石の磨く前の姿」
とでも、いうのか、キラキラしているのではないけれど、内側に秘められた輝きを感じとることができる。
作者はけっして宝石の描写はしていないのに、読者は心の中に宝石の輝きを感じることができる。
こういう“輝き”の伝え方もあるのかと思う。
吉田修一の最高傑作とのこと。
本屋でサイン本として売られていたのと、最高傑作という言葉につい衝動買いしてしまう。
文体がたんたんとしているためか、大きな感情の起伏がないまま読み終えてしまった。
映画化され、2013年2月23日全国ロードショーとのこと。
どんな風に描かれるのか楽しみである。
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