2013年1月14日月曜日

生かし屋 (34/100)



34冊目は、
生かし屋
再生コンサルタントの苦悩
大熊康丈 著
同友館 2010年
です。


生かし屋とは、経営危機により存続が危うい企業・事業を再生させるコンサルタントのことです。

この本は、再生コンサルタントとしての道の道標を提供してくれる本です。
本書を読むと、事業再生の現場がどういったものかわかります。

傾いた事業を守ることは、経営者だけでなく、その会社の社員、及び取引先、その社員を守ることにもなります。
著者も、
『私たち「生かし屋」が大事にしているのは、その事業にかかわる「人」をどのように生かしていけるか、ということである。
ここでの「人」とは、社長や従業員に限らず、取引先の「人」や債権者の「人」、あるいは地域の「人」でもある。』(P.167)
と、語ります。

人間活性化から考えると、
会社や仕事は、人がよりよく生きるため (活性化して生きるため) の装置だと思います。
働くことは活性化につながるため、私自身は、まずは労働者を大切にしたいという思いがあります。

再生には多くの人が関わります。
経営者、社員、債権者、金融機関、スポンサーなどが関わり、利害が対立してしまいます。
「総論賛成、各論反対(P.38)」という状況になり、そこに、再生コンサルタントの苦悩があるのだといいます。

また、経営者が再生を望んでも、世の中が変わっていく中で、その事業を残すことに意味があるのかという苦悩もあります。

コンサルタントは、再生の初期の段階で、経営者に質問するそうです(P.108)。
「あなたの希望は、会社を残すことですか。」
「事業を残すことですか。」
「自分が社長でいることですか。」

精神論を言えば、「社員の生活を守ること」のために身を捨てることのできる経営者であればこそ、コンサルタントとして、経営者を助けたいと感じるのだろうと思います。
中小企業にとって、中小企業の経営者の影響力はやはり決定的なものです。
力を持つ経営者には、その力を人のために使ってほしいと思います。

本書には何人かのコンサルタントの方が登場し、語ってくれます。
建前ではなく、本音を話していると思います。
是松孝典氏はコンサルタントとしての心構えを提供してくれますし、
花房大輔氏は経営改善計画・リスケジュールのノウハウをオープンにしてくれます。
その他の方も経験談を語ってくれ、参考になりました。

是松氏は言います。
「事業再生に極意はない。毎日の経営でたしかな一歩を積み重ね、坂の上の雲を目指していく以外、方法はない。」(P.135)
これは真理だろうと思います。

また、
「泥をかぶり、血を流し、大汗をかくことの繰り返し」(P.139)
とも述べています。

再生コンサルタントの仕事は大変だし、苦労も多いだろうと思います。
しかし、役目を果たせれば、人の役に立つ仕事でもあります。
自分の命を燃やすにはいい場所だろうと思います。
しっかりと休息はとりながらもそこにエネルギーを注いでいきたいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿