2013年1月19日土曜日

日本でいちばん大切にしたい会社 (35/100)




35冊目は、
日本でいちばん大切にしたい会社
坂本光司 著
あさ出版 2008年
です。


本書は、経営者の心構えの教科書だと思います。
6000社以上の中小企業を訪問してきた著者が、「大切にしたい」と思える経営内容を紹介しています。

著者は、現状の経営を嘆いています。
公私混同・私物化経営を行い、経営不振は外部環境を言い訳にし、社員やその家族、下請け企業や顧客の幸せへの思いが弱い経営者が多いといいます。
それらの経営者に、あるべき姿を提示してくれるのが本書です。

著者は経営者には、五人に対する使命と責任があると述べます(電子ブックP.28 以下同)。
優先順位順に記載すると、
1.社員とその家族(社員がいることが全てのスタートだから。)
2.外注先、下請け企業の社員(社員同様、いないと仕事できないから。)
3.顧客
4.地域社会
5.株主、出資者(一番最初のリターンを期待してはならない。)
となります。
著者は、
「会社は経営者や株主のものではありません。
 従業員やその家族、顧客や地域社会などその企業に直接かかわるすべての人々のものなのです。」(P.21)
と述べます。
私も著者の考えに賛同します。
会社という組織は、人が幸せに生きるために作り出したものであり、人を不幸にする経営は、本来の趣旨に反していると思います。

私も、事業再生という仕事の中で、P/Lの改善とともに、上記の五人に対する使命と責任を紹介し、そんな経営が増えていけばいいなと思います。

著者は、業績の良さが目標ではなく、会社が継続することこそを目標にすべきといいます。
業績が目標にならない、ということについて私が感じるのは、業績とはそもそも社員や外注へ支払った“残り”だから、ということです。
業績とは最終利益ですから、株主に対する数値に近いと思います。
業績が悪くても、社員や外注にちゃんと適正額を支払っているのなら、社員から搾取して業績がいい会社よりも良いと思います。


人間活性化の観点から本書を見ると、やはり、働くことは活性化において重要だという考えを深めることになりました。
本書では、日本理化学工業という障害者が働くための場を提供している会社が出てくるのですが、障害者の方がなぜそんなに働くのかということに対して、
障害者の生活する施設の中では、人にほめられること、役に立つこと、必要とされることという人間の喜びを得ることはなく、これは働くことを通じて実現できる幸せなのだ(P.124)、という記述がありました。
働くことを通じて得られる喜びである、
・ほめられること
・役に立つこと
・必要とされること
という、この3つは人間活性化のモデルの参考にしたいと思います。


最後に、最近、二宮尊徳について触れる機会が多く、本書内でも下記の二宮尊徳の言葉が印象に残りました。(P.325)

遠くをはかる者は富み
近くをはかる者は貧す
それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。
まして春まきて秋実る物においてや。
故に富あり。
近くをはかる者は
春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取る事のみ眼につく。
故に貧窮す。
(100年カレンダーを作っている伊那食品工業の塚越会長の座右の銘)

会社という機関は、人に「パワー」を与えます。
そのパワーを使えば、他者の力を自己の利益のために使うことも可能です。
実際、会社を私物化したり、地位を利用して自己のために便宜を図る姿も見受けられます。
しかし、その「パワー」は、皆がよりよい生活を送るために、当人に与えているにすぎません。
経営者は特に「パワー」を得やすい立場にありますので、その「パワー」を皆のために使ってほしいと思います。

ただ、これは自分自身の反省ポイントでもあります。
自分も多かれ少なかれ、会社や家族、社会の中でパワーを持っています。
また、地球上の生物界の中でも人間以外の生命に対してパワーを持っています。
ノブレスオブリージュという言葉を使ってしまうのは安易かもしれませんが、自分が今、もてる力を他者のために使っているか、常々反省が必要だと思います。

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